猫パラストーリー1

【序 章】
 阿波は徳島。猫年、猫月。阿波猫さんと呼ばれるここの猫たちは、人間さまのいつもの世界と、パラレル猫ワールドを行ったり来たり。阿波に生きる猫のしきたり、ねこ関係に、ねこ模様。猫の世界はいつも気まぐれだけど、阿波猫さんは今日も生きている。捨て猫やうち猫、あばれ猫に訳あり猫。ねこねこしい、失礼、憎々しい猫もいれば、猫情に厚い猫もいる。男と女。お芋、失礼、老いも若きも。老若にゃんにゃんの猫たちの、猫パラ(猫パラダイス&猫パラレルワールド)ストーリーの始まり、始まり。

【第1話 マロン】
 ボクの名前はマロン。年はね、6か月だよ。ボクを拾ってくれたママがお医者さんに聞いてくれたから合ってるよ、きっと。寒い日だったんだ。ボクあまり覚えてないんだ。走って走って、いっぱい色んな人が歩いてたから、隠れてたの。おなかが空いて、寒くて、怖くて。眠くなっても寒くて眠れなかったんだ。どのくらいたったのかな。ふわっと優しいいい匂いがして、ボク浮き上がったの。「こんなところにいたの?うちに来る?」って、誰かが抱っこしてくれたんだ。それがママ。ボクのママ。ママはボクをおうちに連れて帰ってくれて、真っ先に暖かい毛布で包んでくれた。それからごはんを作ってくれた。えっとね、ママが「これ、サーモンだけど食べる?」って言ってたよ。温くておいしかったよ。それからね、「お風呂に入りましょうね」ってママが言って、ボクをシャワシャワ洗ってくれた。初めてのお風呂はくすぐったくて、怖かったけど、ママが優しく洗ってくれるから、ちょっぴりうれしくなっちゃった。「気持ちいいでしょう」ってママに言われたけど、やっぱり怖くて泣いちゃった。ずっと泣いてて疲れちゃって、お風呂から出たら急に眠くなったんだ。ふかふかのお布団、暖かいお部屋。ボク、ここにいていいのって思ってたら、ママが言ったんだ。
「今日からここがあなたのおうちよ。名前はマロン。気に入った?」って。ボク、ここにいていいんだ。
「ワタシはあなたのママ。ずっと一緒にいましょうね。」ボクのママ…ボクにママが出来たんだ。今日からこの人が
ボクのママなんだ。急にホッとして、ほわっとして、ボク眠くなっちゃったんだ。そのままベッドで眠ったみたい。どれくらい寝たのかなあ。夢を見たよ。夢の中でボク走ってた。笑ってた。ママも笑ってたよ。ずっとずっと。

(つづく)